当教室で中学から英語を勉強していた人と、高校からMEに入った人では、基礎力において大きな差があります。事実、公立高校入試において満点及び満点に準じた点数を獲得した約8割のME中学部出身の生徒たちは、どの高校に行ったとしても、入学当初の英語のクラス順位・校内順位は高いものとなります。しかし、高1の夏休み以降、徐々にその順位を落としてしまう生徒がいるのも事実です。
中学時は、MEの復習を実行していれば、あるいは、当教室の復習を自ら意識的にし、MEの授業を真剣に聞こうとしていたら、自然に高い得点をあげています。MEでは、新高1生の春期講習会で、高校文法の全てを指導します。1日90分×7日間を使い、仮定法・分詞構文・複合関係詞を含めた、文法項目のほぼ全てを理解することができます。MEテキストは、文法理解が目的ですから、難関な英文は使用していません。中学基礎のある生徒なら、高校文法の全てをこの期間に理解することが可能です。
ここで大切なことは、やはり、自分で作成する「MEノート」です。自らが理解した英文をノートの左に、その訳文を同じノートの右に書き、右の訳文を見たら左の英文を口頭で訳せるかのチェックを習慣的に行ないます。つまり、高1の時点で「MEノート」(口頭英作用ノート)を作り始めることができるかどうかが、その後の英語理解に大きく左右するのです。文法が理解できたら、次は長文になります。
当教室では高1の9月以降、大学入試共通テスト程度の長文を使用し、授業の半分を長文読解に割きます。長文を理解するには、その文に使われている ①単語・イディオム②文法③構文が分からないとうまくいきません。構文とは、文のつくり、つまり文型のことです。MEでは小学部から、文を文型の要素(SVOC副詞)で区切り、その区切りの下に訳を書き入れるという方法を取っていますので、当教室で勉強されてきた生徒に構文を理解させることは容易なことです。まず構文の理解がないと長文が読めないわけですから、当教室に高校から入る人は、構文理解の必要性が生じ、実際の授業を受ける前に数回の補習が必要となります。
高1の夏以降、成績が落ちてしまう生徒たちは、無意識のうちに『教師はまた同じことを言ってくれるだろう。また同じことを教えられるだろうから、今覚えなくてもいいのだ。』という感覚を持ってME高等部の授業に参加してしまう事が原因かもしれません。中学英語と高校英語はやはり違います。では、その違いとは何でしょうか?中学のテストは満点をとれます。また、全てを完全理解できます。しかし高校英語は、大半の生徒にとって完全理解できないものがたくさんあります。よって高校英語においては、自分で『分かった。理解できた。』というところを確実に自分のものにしていく、という勉強方法を取り入れることが一番大切なのです。
当教室では、長文に出てくる英文を文型の要素及び節で区切り、その区切りの下に自ら全訳文を見て、相応する訳を書き入れてもらいます。高1までの予習は、ローマ字読みでもいいから長文をよどみなく読めるように、また全訳文を読んでくるようにとの指示を出します。音読はとっても大切なものです。
また、予習も大切です。たかが15分程度の予習ですが、これを実行しないと、授業内に上記方法で長文を理解していくことが困難になります。また、より大きなポイントとなるのは、授業で長文を理解した後の復習です。当教室で学習した長文は、音訳するようにとの指示を出します。「ME音訳」とは、長文の英文を1文ずつ声に出して読み、続いてその1文を声に出して訳していく方法です。その音訳を3~4度繰り返したら、メモのない長文をスラスラ訳せるようになります。その長文を訳せたということは、その長文に出てきた①単語・イディオム②文法③構文のすべて理解できたということになるのです。
高2になると、自ら英文を区切り、その区切りの下に訳を書き入れ、「ME音訳」し、メモなしの長文を訳せるようになる生徒が出てきます。そのような生徒が大学受験で高得点を取るということになります。大学受験の勉強で最も合理的な方法は、受験する大学の赤本(過去問題)を実践することです。MEは各クラスに合った赤本を選択し、それらを利用し、再編集して授業を行ないます。その際も、短文は口頭で英作、長文は区切って音訳という勉強方法を実行し続けています。
結論として、英語は語彙力です。大学受験の長文には、各領域の学識者が書いた長文が多いので、語彙力が無ければ理解できません。中学まではあんなに出来たのに、高1までは成績が良かったのに、それ以降成績が落ちてしまった生徒の原因は、語彙力・単語の力にあると断言できます。全国の大半の高校生たちが、「英語は単語だ」ということに気づかず、また気づいたとしてもやらずに、英語という外国語をものにすることが出来ず、大学入学以降会話的なものに目覚めたとしても語彙力の不足で伸び悩んでしまう現状を見る時、私は当教室の生徒たちに語彙力を増強する重要性を訴えざるを得ません。その語彙を豊かにするには、前述した短文の口頭英作と長文の音訳、それに加えて単語集による習慣的な記憶のチェック、この3本立てが必要となるのです。
MEでは1月以降、高3・浪人生の生徒全員に対し、個別授業を実施します。1対1の授業において、マンネリズム・妥協は一切排除され、生徒は自分の志望校合格に向けて、過去問題に必死で取り組みます。短文は間違えたら英作、長文は注釈の無いものを訳せるようにするために音訳、という作業を素直に繰り返し、そして多くの生徒が驚くほど力を伸ばします。しかしながら、もう少し早くから口頭英作やME音訳に真剣に取り組んでいたら、もっと飛躍的に力を伸ばせたはずだった生徒がいるのも事実です。その為、学年は問わず、生徒たちには単語集と短文の口頭英作、そして長文の音訳の指導法をいち早く自分のものにし、それを継続して実行していけるよう指導することを日々心がけております。
英語を得意とするためには、英作力を付ける以外にありません。英語は、「日本語に訳すことさえできれば良い」と多くの生徒が思っていますが、その方法では、決して英語を理解する事はできません。英語で作文するためには、その文にある文型・文法・単語・イディオム・構文のすべてが分かっていなければなりません。言い換えると、「英作できる」ことが「英語を理解している」ということになります。
私自身、高校2年次の英語の成績は400人中300番台後半でした。その頃に学校で教えられたものの記憶はありません。教師の話を聞こうとしなかったし、聞いたとしても、「英語は数学以上に難しい」という思いを再確認しただけであったと思います。しかし、そのような時の私に、ある転機が訪れました。アメリカ高校留学のための試験です。その試験のために何をどう勉強したらいいのか分からなかった私は、YMCAの英会話学校に通い始めました。そこで私は、外国人以上に外国語を自在に操ることができるプロの外国語講師と出会うことができました。群馬大学の英語教授であった西和世先生です。劣等生である私が無礼にも、留学試験に受かる方法を先生に問うと、先生は「薄めの英会話の本を買い、その中で日本語に訳せる英文だけは口頭で作文するようにしなさい。」とアドバイスをしてくれました。私はさっそくその方法で勉強を始めました。少しずつ続けていくうちに、バラバラであった英語の世界が、ひとつのものになっていくと言う感触を持つことができました。数ヵ月後にはその英会話の本の全ての文を英語で言えるようになっていました。
結果、奇跡が起こりました。英会話の本を口頭英作練習することによって、私の基礎力は上がり、基礎力が上がれば上がるほど授業に参加することができるようになり、参加できる授業は面白く感じられ、さらに、授業が面白くなれば当然成績も上がり、同時に英語を得意と感じられるようになりました。最終的に、学校での英語の成績は1桁の順位になるまでになりました。
このような高校留学以前の私自身の体験と、大学・大学院での留学、そして英語講師としての経験から、私は英語を得意とするためには英作しかないと確信しています。よって本学院では、小学部・中学部・高等部に在籍する全ての生徒に対し、「日本語に訳せた英文は、ノートの左に英文を、右にはその訳文を書き、訳文を見たらそれを英語で言えて書けるようにする。」ということを実践し、英作を習慣付ける指導を徹底しています。短文問題・長文問題・大学入試共通テスト問題・英検問題において、最終的には、「間違えたところは、日本語を英語で作文できるようにする。」という英語の学習方法が確立されている生徒が、英語を好きになり、得意としている人たちなのです。
あなたが今、英語を不得意と感じているなら、まず英作用のノートを1冊用意ください。そして、学校の教科書・MEテキスト・手持ちの問題集などの中で何らかの方法で理解することができた英文は、その日本語訳と共にしっかりとノートにまとめてください。どんなに短い文でも構いません。ノートの左に英文を、右にその日本語訳を書き、訳を見たら、それを口頭で英作できるように努めてください。ノートになにかを書き始めたら、それが英語を得意とするための第一歩となります。